渋谷区で「自己破産」をする際の流れ
現在、事業の行き詰まりや勤務先の休業で突然収入を絶たれる人が増えています。
生活の糧を失うだけでも途方に暮れてしまうのに、さらに負債を抱えていたら完全に行き詰まってしまうでしょう。
もし、「この先は借金を返す目途が立たない…」といった状態であれば、自己破産を検討する時期にきています。
とはいえ、自己破産にはさまざまな噂もあり、怖いイメージを持たれがちです。いざ手続きとなると二の足を踏む人が大半でしょう。
実際、自己破産は一生に一度あるかないかですので、不安になるのは当然です。
しかし、自己破産は良く知ればそれほど恐れる必要はなく、むしろ生活再建に役立つ手続です。
今回は、渋谷で自己破産をお考えの方に向けて、自己破産の概要や手続きの流れについて解説をしていきます。
このコラムの目次
1.自己破産とは?
(1) 債務が免除、財産が一部を除き処分される
「自己破産」は「債務整理」の一種で、法律上免責を許されない税金や養育費等を除き、債務を全額免除してもらえる制度です。
債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがありますが、このうちで債務を全額免除してもらえるのは自己破産だけです。
裁判所から免責許可決定を受けた後には、借金の返済義務はなくなるので、督促に怯えることもなければ、弁済金の工面をする必要もなくなります。
しかし、その代わりに財産は一部を除き処分されます。
とはいえ、処分対象となるのは資産価値20万円以上の財産で、20万円以下の財産や身の回り品、99万円までの現金については手元に残せます。
自己破産をする人で多額の現金を持っている人は稀ですし、家財道具や仕事で使う道具などは処分されません。家や車など大きな財産を持っている人でなければ、財産処分について過度の心配する必要はないでしょう。
処分対象となる財産を持っている場合は、破産管財人によって財産は処分・換価され、債権者に平等に配当されます。
この他、自己破産のメリットやデメリットは以下のコラムで説明しています。
[参考記事]
自己破産とはどんな手続き?
(2) 管財事件と同時廃止がある
自己破産には「管財事件」と「同時廃止」の2種類あります。
管財事件は主に一定の財産がある場合で、同時廃止は処分するに値する財産がない場合に適用されます。
管財事件には「通常管財」と手続期間も短く費用も安い「少額管財」もありますが、少額管財の適用は弁護士が代理人になっていることが条件です。
現在の東京地裁における管財事件適用の基準は以下の通りです。
- 33万円以上の現金を持っている場合
- 20万円以上の資産価値のある財産を持っている場合(調査の必要がある場合を含む)
- 免責(債務を免除すること)調査の必要がある場合
- 法人代表者または個人事業主
上記に当てはまる場合は管財事件として処理されます。該当しない場合は同時廃止として扱われます。
同時廃止は財産や免責する上で問題がないことが明らかですので破産管財人がつかず、破産手続き開始決定とともに破産手続が終了します。そして、免責手続が開始されます。
(3) 破産手続と免責手続きがある
自己破産は厳密に言うと「破産手続」と「免責手続」の2つがあります。つまり、2段階の手続きがあります。
破産手続は破産管財人によって財産が処分・換価され、債権者に平等に配当されるまでの手続きです。この手続きが終わると免責手続に移行します。
同時廃止は破産手続きに入ると同時に手続きが終了するので、すぐに次の免責手続に入ります。
破産手続も免責手続も一定の要件があり、以下に該当する場合に認められます。
破産手続では支払不能である必要がある
破産手続は開始に際して、破産手続開始原因があることが要件となります。この原因に該当するのが「支払不能」です。
支払不能とは「債務者が支払能力を欠き、弁済期にある債務について一般的かつ継続的に弁済できない客観的状態であること」とされます。
あくまでも客観的に見て支払不能と判断される必要があるので、自分で支払ができないと主張をするだけでは認められません。
支払能力とは労務による収入だけでなく、財産や信用など含めた総合的な評価で判断されます。
例えば、収入が少なくても資産があれば支払能力がないとは言えませんし、収入があっても債務額が大きすぎれば支払能力なしと判断されるでしょう。
また今現在は支払いができても、将来的に支払いを継続することが難しい場合も支払不能に該当します。
このように、支払不能と認められるかどうかはケースバイケースです。
免責手続では免責不許可事由がないこと
破産手続が終了した後は免責手続に移行します。
免責手続は「免責不許可事由」がないことが要件です。
免責不許可事由にはいくつか要件があります。
一例をあげると、財産隠しや裁判所への虚偽申告、計画的な破産、一部の債権者へ優先的に弁済する、などの行為が該当します。
より詳しく言うと、自己破産の前に迷惑をかけられないと知り合いだけに返済をしたり、悪意なく財産の名義変更をしてしまったりした場合です。
これらは自己破産では禁じられており、抵触すると免責を認められなくなる恐れがあるのです。
また、破産原因がギャンブルや浪費にある場合、それが原因で免責不許可になる恐れもあります。
免責不許可事由はあっても一回目の破産であれば、裁判所の判断により裁量免責が受けられる可能性はあるので、抵触することが1つでもあれば破産ができないということではありません。
しかし、悪質と判断された場合には免責を受けられないこともあるので注意が必要です。特に資産隠しなどをした場合は、まず免責を受けることができません。
自分の行為が免責不許可事由に該当するかどうかについて素人判断は難しいので、自己破産を視野にいれた段階で速やかに弁護士に相談をすることをおすすめします。
[参考記事]
自己破産ができない?免責不許可事由とは
2.自己破産の流れ
ここからは、自己破産の流れについて解説をしていきます。
自己破産は管財事件と同時廃止で流れが異なります。
(1) 管財事件
①弁護士に依頼
弁護士に依頼をすると、債権者に受任通知が送られます。
②破産申し立て
裁判所に破産申し立てを行い、申立書の内容や提出資料の確認が行われます。同時に破産管財人候補者を選びます。
③破産手続き開始決定
破産申し立ての書類に不備がなければ破産手続き開始決定です。破産申立から開始決定までの期間は2週間~1ヶ月程度です。
④破産管財人選任&面談
破産手続開始決定後に破産管財人が選任され、破産管財人と破産申し立てをした本人、代理人弁護士と日程調整ののち、3者面談を行います。
⑤破産管財人による財産処分
破産管財人は財産があれば換価処分をして現金化をします。免責不許可事由がある場合は調査をして、裁判所の裁量免責に値するかどうか判断を行います。
⑥債権者集会
債権者を集めて財産に関する説明を行います。債権者集会は破産手続開始決定から2~4ヶ月後に開かれることが多いでしょう。債権者集会は1回で終わることもあれば複数回になることもあります。
⑦免責審尋
管財人が選任される場合は、原則として債権者集会と免責審尋はセットで行われます。同時廃止では集団面接になることもありますが、管財事件の場合はは個別審尋です。
⑧債権者の確定と配当
換価処分の結果、配当できる財産がある場合は、債権者の債権額に応じて公平に配当を行います。
⑨破産手続終了
債権者に配当が終われば破産手続は終了します。
⑩免責許可確定
上記手続きが終了したのちに裁判所による免責許可決定が下されます。免責許可決定が確定した後に正式に借金はなくなります。
免責許可確定となるのは官報に掲載された後2週間ほど経過した後です。
(2) 同時廃止
同時廃止は、破産手続き開始決定以後の流れが異なります。
①と②は管財事件と同じです。
③破産手続開始決定と同時に破産手続きは終結します。
④免責審尋
同時廃止の免責審尋は、通常、東京地裁で集団面接で行われます。集団面接の場合は一人当たりの時間は30秒とわずかな時間で終わるでしょう。
⑤免責許可確定
免責審尋で問題がなければ、免責許可決定となります。免責許可確定までの流れ、期間は管財事件と同じです。
3.自己破産の流れは複雑なため、弁護士へ相談を
自己破産は財産の有無により手続きの流れが大きく変わります。
同時廃止と管財事件のいずれも流れは非常に複雑ですので、専門家のサポートが必要です。
また、管財事件は少額管財を利用できれば費用を抑えることができますが、弁護士が代理人についていることが条件です。司法書士では代理人につくことができず、本人申立てなので利用できません。したがって、この場合、弁護士に依頼するほうが、総額費用が低廉になることが多いでしょう。
[参考記事]
自己破産の費用(東京地裁)|破産は自力でできるのか?
泉総合法律事務所渋谷支店では、自己破産の解決実績が豊富にございます。自己破産のご相談は何度でも無料です。
また、弁護士費用についても分割払いに対応していますので、まずは費用の心配をすることなくお気軽にご相談ください。
自己破産が認められれば借金返済の苦しさから解放されます。借金問題の解決方法について、ぜひ弁護士と一緒に考えていきましょう。
東京地裁
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