法人破産

法人破産と倒産の違い

日本では、日々多くの企業が倒産しています。実際、渋谷区では2019年に127件の企業が倒産しました。

会社の維持が難しくなってきた場合、会社を倒産させることも考えなければなりません。

しかし、倒産とは一体どういったものなのでしょうか?

倒産と似た言葉に「破産」がありますが、実は倒産と破産は厳密には違う意味を持っています。
「倒産すると会社がなくなる」と考えている人もいるかもしれませんが、実はそうとは限りません。

確かに「倒産」処理手続のうちの一方法である「破産」をすると会社は消滅してしまいますが、「破産」以外の方法においては、会社が存続する場合もあります。

「もう法人破産して会社を消滅させなければダメだ!」と考えている場合でも、実は法人破産以外の倒産処理手続を選択することによって会社を続けられるかもしれないのです。

知らない人が意外といるかもしれない「破産と倒産の違い」について、今回はご説明します。

1.「倒産」とは?

倒産という言葉には、実は厳密な定義がありません。
業績の悪化などにより債務の弁済が困難となり、法的整理など何らかの手続を踏まなければ事業を続けられない状態のことを一般的に「倒産」と呼んでいるのです。

そして世の中には、様々な形の「倒産」があります。

例えば東京都産業労働局総務部企画計理課が作成し、公開している「東京の企業倒産状況」という資料には、法的整理による倒産数が掲げられていますが、倒産処理の主なものは以下の4つです。

  • 会社更生法
  • 民事再生法
  • 破産
  • 特別清算

このうち最も多いものが「破産」で、実に9割以上を占めています。
そのせいで「倒産=破産」と考える人がいるのかもしれませんが、実際には様々なタイプの倒産があります。

倒産は主に「清算型」「再建型」の2タイプに分けることができます。

(1) 清算型

会社の有する財産を全て現金化して、そのお金でできる限り債権者へ弁済する手続です。手続が終了すると会社は消滅します。

このタイプには「法人破産」と「特別清算」の2種類があります。

①法人破産

最も多く選ばれるタイプの倒産です。
裁判所に破産の申し立てを行って、裁判所が選任した「破産管財人」という人の指示や監督の下で手続を行います。

破産管財人が破産申立人の財産を調査し、換金し、債権者への配当を行うので、破産申立人は破産管財人の指示に従い、手続に協力しなければなりません。

手続が終了すると会社は消滅し、それに伴い会社の債務も消滅します。

②特別清算

こちらも裁判所が関与する手続ですが、破産管財人ではなく会社の代表者が「特別清算人」となり、その特別清算人が会社の財産を換金し、債権者への弁済を行います。
特別清算をすれば、法人破産と同様に会社は消滅しますが、会社の債務もゼロになります。

しかし特別清算の手続を進めるためには、様々な場面で債権者の同意を得なければならないなど要件が厳しいため、この方法を選択できるケースは限定的です。

(2) 再建型

手続後も会社が存続するタイプが「再建型」です。その名の通り企業の再建を目指して行われます。

このタイプには以下の3パターンがあります。

①民事再生

裁判所に申し立てをして、会社が負っている債務を軽減するのが民事再生です。

債権者の同意が必要ですが、同意を得られれば会社を残したままで債務問題を解決できます。

しかし債務がなくなるわけではないので、少なくなったとはいえ支払義務は継続します。

したがって、会社の事業自体に今後も利益を生み出せる見込みがあることに加え、債権者の同意が得られる見込みがあることが必要です。

②会社更生

こちらも債務を圧縮できる手続ですが、最大の特徴は、上記の民事再生法が債務者すなわち現行の経営陣が今後も業務遂行を行うことが可能であるのに対し、会社更生法においては、 裁判所が選任した「更生管財人」が会社財産の管理処分及び事業の経営権を持つことです。

会社更生が選択されるケースは、上記の裏返しとしての、債務者すなわち現行の経営陣に今後の手続や経営を委ねることが適切でない場合、また、債権者が多数でその利害調整が困難であるがゆえにその権利行使に強力な制限を加える必要がある場合です。したがって、会社更生法が行われるのは、規模の大きな株式会社がほとんどです。貸金業者であった武富士、英会話学校経営のNOVAなどが典型例です。

2.どの倒産方法を選ぶべきか

一口に「倒産」と言っても様々なものがあることはおわかりいただけたと思います。
では、いざ自分の会社を倒産させると決めた場合は、どれを選べば良いのでしょうか?

以下に簡単な判断基準を記していきます。

(1) どうしても借金を返せそうにない

事業自体に利益が出ていないすなわち損益計算書上の「営業損益」が赤字である状態、又は営業利益は出ていたとしても負債総額に比してそれが微々たるものである場合、さらには斯様な状況下で会社存続の意思が薄れ債務をゼロにしたい場合は「法人破産」か「特別清算」を選択して、会社をたたんでしまいましょう。

①債権者と関わりたくない・早く解決したいなら法人破産

倒産の中で最も頻繁に行われているのが「破産」です。

法人破産をすると、裁判所が選任した破産管財人が様々な手続を行ってくれます。
法人破産を選択した場合、債権者は破産手続に大きな影響を与えるほどの関与ができないため、債権者の意向に関わらず手続が粛々と進んでいきます。

破産の申立てを依頼した弁護士や破産管財人の指示に従えば基本的に大丈夫なので、そういった意味でも気が楽かもしれません。

ケースにもよりますが、債権者に有無を言わせず早期に会社を消滅させたい場合は、破産が有力な候補になるでしょう。

②債権者が少数で協力が得られそういなら特別清算

債務額が少ないなどで債権者の同意を得られそうな場合は、特別清算を考えても良いかもしれません。

ただし、あくまで話し合いによって債権者の同意を得る必要があることから、一般的にはこの手続を選択できるハードルは高いと思われます。

(2) 会社を存続させたい場合

会社の存続を第一に考えるのであれば、「民事再生」「会社更生」のいずれかを選ぶことになります。

それぞれを選ぶ基準を簡単に見ていきましょう。

①事業自体に価値があり、かつ、債権者の同意を得られる見込みがあるなら民事再生

会社の収入が途絶えたわけではなく、定期的に収入が継続する見込みがある、すなわち本業の事業自体から利益が得られる見込みがあるがあり、債務額を軽減すれば完済できそうな場合は、民事再生が選択肢に挙がります。

ただし民事再生は債権者の過半数が反対するとできませんし、反対する債権者の持つ債権額が負債総額の半数を超えてもできません

「債権者に反対の意思がなさそうな場合」でないと使えないというデメリットがあります。

②債権者の同意が得られそうにない、又は債権者が多数で利害調整が困難である場合

上記のとおり、民事再生法では一定の債権者の同意が必要になります。

したがって、例えば一定の債権者から、「現行に経営陣は退任すべき」といった意見がある場合には会社更生法が検討対象となります。また、会社更生法は債権者などの利害関係人の権利を強力に制限するものであることから、債権者が多数でその利害調整が困難な場合にも有力な手段です。

もっとも、上述のとおり会社更生法は、大規模かつ債権者多せつづき倒産を前提としている制度です。

(3) 最終的には弁護士の判断を仰ぐ

自分では会社を存続させたいと思っていても、弁護士の客観的な視点から見れば既に再建の見込みがない場合もあります。

また、「債権者とは話し合いでなんとかできそうだ」と思って特別清算やあるいは私的整理などの穏便な手法を期待していても、弁護士からすれば「交渉の余地がない」というケースも考えられます。

引き際を見極めることも経営者には必要ですが、そもそも会社の引き際を経験することが初めての人もいるでしょう。

そういった意味では、経営者は「倒産の初心者」であることが多いのです。

自分の思いはともかくとして、専門家である弁護士の判断に従った方が、最終的にはプラスに働く可能性が高いです。
会社の倒産を検討するときは、必ず弁護士の意見を聞くことをお勧めします。

3.どの倒産・破産手段を選べば良いのかは弁護士に相談

倒産とは、企業が債務超過で営業を続けられない状態を指す言葉です。
「倒産=法人破産」というわけではなく、企業の再建を目指す会社更生や民事再生なども倒産に含まれます。

自分の会社の経営が苦しくなって倒産を考える場合、会社を消滅させるか再建を図るかで採るべき手段が異なります。

主観で判断すると間違った選択肢を選んでしまうかもしれないので、法律家である弁護士に判断してもらいましょう。

そうすることで最適の解決方法が見つかりますし、手続を依頼すれば書類の作成や裁判所への申し立て、さらには債権者との交渉などまで代行してもらえます。

会社の維持が難しいと感じた場合は、早い段階で泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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