法人破産

法人破産で必要な予納金を払えない! 

会社が、借金などの支払いができなくなって経営難に陥り、その経営難が一時的でない場合は「法人破産」を視野に入れる時期にさしかかっています。

しかし、法人破産をするにもお金はかかります。特に裁判所に納める予納金が払えない場合は手続きを開始することができません。

法人破産をする際の予納金は、一体いくら必要なのでしょうか?また、会社にその資金がないときはどうしたら良いのでしょうか?

1.法人破産の予納金とは?

最初に、法人破産で必要となる予納金について解説をします。

(1) 何のために支払うのか

法人破産は、個人破産と異なり「同時廃止」は認められておらず、必ず破産管財人が選任される「管財事件」となるので、裁判所に対し、管財人の報酬等に充てられる「予納金」を支払わなければなりません。予納金とは「裁判所に予め納める金員」という意味です。

管財事件では裁判所から選任された破産管財人が会社の財産を調査した上で、換価・配当をします。 

上記のとおり、予納金の大部分は管財人に支払われる報酬ですので、調査すべき財産が多く、対処すべき事柄が多いほど仕事量は増えるので、予納金は高額になります。 

法人破産は個人破産(自己破産)に比べて手続は複雑です。なぜなら、債権者の数が多いですし、従業員の未払い賃金や解雇に関する問題もあります。
また、テナントを借りている場合は明け渡しをするなど、契約関係が複雑であるために様々なことに対処をしなければなりません。

それだけに、個人の破産に比べると予納金も高額な設定となっています。

(2) いつ支払うのか?

法人破産の申し立てから2週間~1ヶ月後に、裁判所から予納金の支払いに関する連絡がきます。
書類の補正が入る場合はもう1~2週間ほど時間がかかることもあります。

その後、いつまでに支払うか特に期限は定められていませんが、予納金を納付しないと破産手続きは進行しませんので、速やかに支払う必要があります。予納金を支払えば、裁判所による破産手続開始決定がなされます。

上記スケジュールを勘案すると、目安として申立てから1ヶ月後位には支払う必要があり、法人破産をする際には予納金を用意していることが前提となります。

(3) いくら支払うのか?(東京地裁)

法人破産の予納金は個人破産(自己破産)に比べると高額です。負債額が高くなるほど予納金は高額になります。

予納金は各裁判所によって規定がありますが、東京地裁における負債額に対する予納金は次の通りです。 

負債額

予納金

5、000万円未満

70万円 

5、000万円未満

100万円

1億円~5億円未満

200万円

5億円~10億円未満

300万円

10億円~50億円未満

400万円

50億円~100億円未満

500万円

100億円~250億円未満

700万円

250億円~500億円未満

800万円

500億円~1,000億円未満

1,000万円

1,000億円以上

1,000万円以上

仮に予納金を支払えない場合は、そもそも裁判所による法人破産の手続が開始されないので、法人破産をするのであれば、資金面で余力があるうちにとりかかる必要があります。 

しかし、資金面で余力があるうちは会社を倒産させようなどとは思わないものです。

大半の経営者は資金繰りをギリギリまで頑張って、いよいよ万事休すの段階になって破産を決意するので、もはや会社には予納金に充てる現金が残っていないということは珍しいことではありません。 

それでは、このような場合はどうしたら良いのでしょうか?

2.会社に、予納金に充てる現金がない場合

先述の通り、予納金は法人破産の申立後、速やかに納める必要があります。
しかし、お金がなければ申立てはしたものの予納金が納められず、いつまで経っても破産手続きは前に進みません。

予納金は一括払いなので、破産申立て時に全額用意をする必要がありますが、今現在、会社に手元現金がなかったとしても費用の捻出方法はあります。

特に法人破産であれば、状況によっては資金を生み出すことは可能です。

(1) 財産を処分して費用を作る

破産手続の申立て手続を弁護士に依頼すると、弁護士は債権者に対し、受任通知を送付することが可能です(もっとも、税務当局などへの受任通知の送付の可否については別途、慎重な考慮が必要です)。

債権者は受任通知を受け取ったら債務者本人への督促をしてはならないというのが一般的なルールですので、会社はこれら債権者への支払いもストップすることができます。

そのうえで、会社の財産を現金化する、また売掛金の回収などで破産に必要な費用を捻出していきます。

しかし、この際に捻出したお金の使途は、あくまでも破産手続きに関する費用にしか充てることができません。

代表者自身の生活費に充てたり、親しい債権者に「迷惑はかけられない」と勝手にお金を弁済するようなことがあれば、破産手続において破産管財人や裁判所から問題視されかねません。

受任通知後に発生した財産の取り扱いには十分注意する必要があります。

(2) 財産がない場合

もし、会社にこれといった財産がない場合、代表者が自らの財産で用立てるか、親族などの援助で費用を捻出することも検討する必要があるでしょう。

3.法人破産はお早めに弁護士へご連絡ください

上述のとおり、法人破産の予納金は高額で、破産申立てをした後に速やかに支払う必要があります。
基本的に納付期限はありませんが、予納金の支払いがなければ破産手続き開始決定に至らないので、破産を決意したときには資金を用意している必要があるのです。

よって、法人破産は資金に余力のあるうちに踏み切ることが肝心ですが、万が一、時期を逸しても場合によっては費用を捻出できる方法があります。

さらに重要なのは、弁護士に依頼し、かつ、弁護士の指示に従って破産申立て前に適切に契約関係等を処理することによって破産管財人の想定業務を少なくしておけば、予納金が約20万円という、低廉な金額で破産手続が可能な「少額管財手続」を選択できる可能性が大きくなります。

泉総合法律事務所は法人破産手続の経験が豊富にございます。もし、予納金が準備できずにお悩みのことがあれば、どうぞ当事務所の渋谷支店にご相談下さい。

弁護士があなたの立場に立って、予納金を捻出する方法を一緒に考え、法人破産の手続きを進めてまいります。

法人破産の相談は無料です。どうかご相談だけでも、お気軽にお越し頂ければと思います。 

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