債務整理

過払い金返還請求とブラックリストの関係

過払い金返還請求とブラックリストの関係

過払い金の返還請求には、時間制限があり、遅くなればなるほど返還請求が認められない恐れや、認められたとしても金額が減ってしまう恐れが生じます。

それでも、過払い金の返還請求をためらってしまう方が少なくありません。

その主な理由の一つに、過払い金の返還請求をすることで、いわゆるブラックリストに登録されてしまい、新しくクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることができなくなるのではないかという不安があるようです。

しかし、ほとんどの場合には、そのような不安は杞憂に終わることでしょう。

ここでは、過払い金返還請求とブラックリストの関係について説明しましょう。

1.過払い金返還請求でブラックリストに掲載?

結論から言えば、現在は、原則として、過払い金返還請求をしたことを理由にブラックリストに登録されることはありません。

例外的に、過払い金を差し引いてもなお、請求先からの借金が残ってしまう場合にのみ、ブラックリストに登録されます。

たしかに、過去、過払い金返還請求をすると、借金返済の滞納や、各種債務整理と同列に扱われてしまい、ブラックリストに登録されてしまっていた時期がありました。

しかしながら、過払い金が生まれてしまった責任は、いわゆるグレーゾーン金利での融資をしていた貸金業者にあります。にもかかわらず、過払い金の返還を要求した債務者に対して、不利益を与えるのはあまりに身勝手です。

そこで、2010年以降、金融庁の指導もあり、借金を完済している場合には、過払い金請求をしてもブラックリストに登録されないという運用がされるようになりました。

ブラックリストは、借金を返済できる能力に疑いがある人を登録するものです。過払い金の返還を請求したからと言って、借金の返済を出来るかどうかとは、直接関係がありません。

そのため、上記のような運用がされるようになったのです。

もっとも、先ほども触れた通り、現在でも、過払い金返還請求をした結果、ブラックリストに登録されてしまうことがあることは確かです。

どのような場合にブラックリストへの登録がされてしまうのかを詳しく説明しましょう。

2.ブラックリストに登録されてしまう場合

現在、過払い金の返還を請求することにより、ブラックリストに登録されてしまう場合は、以下の二つです。

(1) 相手方への借金を完済していない場合

借金全額を完済し切っていない貸金業者に対して過払い金の返還請求をすると、一時的にブラックリストに登録されてしまいます。

たとえ、最終的に過払い金が生じる場合であってもそうです。

返済すべき借金がまだ残っている以上、過払い金返還請求も任意整理と同じような債務整理として扱われてしまうためです。

もっとも、請求の結果、支払いすぎた利息が残る借金の金額を上回り、過払い金が生じた場合には、借金を完済したことになりますから、ブラックリストから登録が抹消されますので、ご安心ください。

なお、上記のような運用はあらゆる貸金業者が採用している訳ではありませんので、場合によっては、借金残高が残っていても、過払い金の請求をしてもブラックリストに登録されない可能性があります。

もちろん、ブラックリストに登録してしまう業者相手に請求をした場合には、過払い金が返還されるまでは、クレジットカードの新規作成や、住宅ローンの申し込み、奨学金の保証人になるといったことはできません。

借金残高が残っている業者への過払い金返還請求のタイミングには、細心の注意を払いましょう。

(2) 相手方への借金が残ってしまった場合

まだ借金の返済をし続けている相手方である貸金業者に対して過払い金の返還を請求した場合、払いすぎた利息と借金の残高を相殺し、残った利息が過払い金として戻ってくれば、一時的に登録されてしまっていたブラックリストから、記録がちゃんと抹消されることになります。

しかし、そもそも利息を払い過ぎていなかった場合や、利息を払い過ぎてはいたが、払い過ぎた利息を借金の残高の返済に充てても、なお、借金が残ってしまう場合、債務整理の一つに分類されてしまい、ブラックリストに登録されたままとなってしまいます。

登録機関としては、任意整理と同じ、5年間です。

3.ブラックリストへの登録で特に注意が必要な場合

ともあれ、現状としては、借金を完済している、あるいは、請求時点では完済していなくとも、確実に残る借金よりも多く利息を支払っていると言える場合には、ブラックリストへの登録を心配する必要はないと言えます。

しかしながら、具体的な事情によっては、確実にブラックリストに登録されずに済むとは、そう簡単に断言できないこともあります。

特に注意すべき場合を以下で説明します。

(1) カードのショッピング枠に借金が残っている場合

クレジットカードの機能には、クレジットカード会社に商品やサービスの代金を立替払いしてもらうショッピング枠と、クレジットカード会社から直接お金を借りるキャッシング枠があります。

キャッシング枠はもちろん、ショッピング枠も立派な借金です。

特に、リボ払いをして毎月定額の分割返済としている場合には、利息も高額となり、より一般的な借金に近い性質を持ちます。

キャッシング枠もショッピングも枠も利用している場合、キャッシング枠を利用したことによる借金について過払い金返還請求をしても、キャッシング枠のみならずショッピング枠の借金についても、払いすぎた利息は充てられてしまいます。

そのため、キャッシング枠の借金はなくなり、過払い金が戻ってくると思っていたら、ショッピング枠の借金が残ってしまう恐れがあります。

このような場合、当然過払い金が手元に戻ってくることはありませんし、何より、任意整理と同じような扱いを受けてしまいますから、ブラックリストに登録されたままとなってしまいます。

(2) 貸金業者の合併

長年にわたる多くの過払い金返還請求の結果、貸金業者の経営状況は悪化の一途をたどりました。

その結果、貸金業者の倒産が相次ぎ、生き残りをかけた貸金業者は、他社との合併やグループ化、業務提携に活路を見出し、現在に至っています。以前は全く関係のなかった複数の業者への借金が、合併などにより関連付けられてしまっている場合があるのです。

たとえば、借金を完済済みの業者に対して過払い金返還請求をしようとしたところ、その業者が、多額の借金残高の残っているほかの貸金業者と合併などをしている場合、借金が残っている業者に対して過払い金の返還請求をしたことになってしまいますから、一時的なブラックリストへの登録がされる恐れがあります。

もし、払い過ぎた利息で借金残高を賄いきれなければ、請求後もブラックリストへの登録が残ってしまいます。過払い金返還請求をしようとしている相手先の業者が、現在、他の貸金業者とどのような関係にあるかは、上記のとおり非常に重要です。

たとえ、他の貸金業者への借金について、過払い金返還請求や任意整理などをするつもりがなくとも、弁護士に正確にお伝え下さい。

4.過払い金の請求は弁護士に相談を

基本的に、過払い金返還請求訴訟では、ブラックリストへの登録を過度に心配する必要は、現状、かなり薄れてきていると言えます。ですから、少なくとも弁護士への相談をためらう必要はありません。

もっとも、ブラックリストに関する運用が改善された現在でも、借金が残ってしまった場合には、ブラックリストへの登録がされることに変わりはありません。

上記で最後に説明した通り、クレジットカードのショッピング枠や、貸金業者の合併など、弁護士に対して借金の状況を全て正確に報告しておかなければ、過払い金返還請求であっても、ブラックリストに登録されてしまいかねないという落とし穴があることは事実です。

泉綜合法律事務所では、これまで多数の過払い金返還請求を手掛けてまいりました。そのため、ご相談者様の不安に誠実に向き合いつつ、借金の状況についても適切な確認を経たうえで、最適な解決方法をご提案させて頂きます。どうぞお気軽にご連絡下さい。

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