自己破産で給与差し押さえ解除ができるのか?
給与の差し押さえは、受け取れる手取り金が減ってしまうため、生活苦に直結してしまいます。また、勤務先に借金を滞納していることがバレてしまいます。
実は、給与差し押さえは「自己破産」により解除をすることが可能です。
給与に限らず、現在、口座や不動産など、何らかの差し押さえをされてしまっている方は、弁護士に相談して、早急に対策を取る必要があります。
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この記事では、給与差し押さえの影響や、解除方法・対処方法を解説していきます。
このコラムの目次
1.給与差し押さえの影響
給与差し押さえが執行されると、貸金業者などの債権者により給料は差し押さえられ、受け取れる給料(手取り額)が減ってしまいます(民事執行法152条)。
既に給与を差し押さえられてしまっている方はご存知かもしれませんが、差し押さえをされることで以下のような影響があります。
(1) 毎月受け取れる給料が減る
毎月の手取りが減ってしまうと、生活が一気に行き詰ってしまうおそれがあります。
差し押さえられる額はケースにもよりますが、例えば、毎月20万円を受け取っていた方は、差し押さえ後は15万円しか受け取ることができなくなることがあるのです。
(2) 会社に借金を滞納している事がバレる
給与差し押さえの通告は、まず、勤務先に送られます。よって、会社に借金を滞納している事がバレてしまいます。
多くの場合、債務者は、会社の経理などから「裁判所から給与差し押さえ命令が届いたこと」を教えられ、そこで差し押さえの事実を初めて知ることになります。
これは、先に債務者に差し押さえの事実が伝わると、差し押さえを避けるための何らかの対策を取られてしまう可能性があるためです。
借金が原因で解雇をされることはないですが、会社に居辛くなってしまうという方は多いでしょう。
この他にも、家族に借金を内緒にしていたという方は、手取り額が減ることにより家族にまで借金の存在がバレてしまう可能性があります。
2.給料差し押さえの対処法
まだ給与の差し押さえを受けていないという方(もうすぐ差し押さえられそうだという方)は、債権者に分割での支払いを交渉するなど、回避のための対策を取ることができる可能性があります。
しかし、既に給与差し押さえを受けている方は、取れる対策が限られてしまうでしょう。
では、具体的にどのような対処法があるのか、解説していきます。
(1) 借金を全て返済する
借金を全て返済できれば、当然給料の差し押さえはなくなります。
しかし、差し押さえられてしまっている現状から鑑みて、これは現実的とは言えないでしょう。
もし、頼れる親族がいる場合は、金銭の援助を相談してみるのも一策です。
(2) 差押禁止債権の範囲の変更の申立てを行う
給料が差し押えられてしまい生活がとても苦しい状況であれば、裁判所に申し立てることで、差し押えられる給料の範囲を少なくすることができる可能性があります(民事執行法153条)。
差押禁止債権の範囲の変更(取消し)の申立を受けた裁判所は、債務者の生活状況や諸々の事情を考慮し、差押禁止債権の範囲を拡張することができます。
(3) 自己破産
給料が差し押さえられてしまった直接の原因は、借金の滞納でしょう。この借金の根本を解決できるという面で、債務整理が最もオススメの手段です。
債務整理とは、債務者の経済的な更生を目指し、裁判所に借金の減額や免除を認めてもらう手続きのことです。
債務整理方法はいくつかありますが、給与の差し押さえを受けてしまっている方に最も有効なのは「自己破産」です。
自己破産とは、債務者の財産を一部処分して換価し、債権者に配当することで、残りの借金を0にしてもらうという債務整理方法です。
自己破産には「管財事件」と「同時廃止」という2つの手続きがあり、債権者の財産状況や免責不許可事由の有無によってどちらの手続きが取られるかは異なりますが、どちらであっても給与差し押さえを解除することができます。
[参考記事]
自己破産ができない?免責不許可事由とは
まず、管財事件の場合は、自己破産手続の開始によって差し押さえが解除され、給料が元通りに(満額)支払われるようになります。
これは、手続き開始時点で、破産管財人が裁判所に執行取り消しの上申書を提出するためです。
管財事件では、破産者の財産を債権者に配当する手続きが行われますが、ここで満額支払われるようになった給与は、その配当手続きには含まれませんのでご安心ください。
一方、同時廃止では、破産手続が始まると一旦強制執行は「中止」されます。中止された段階では、破産者は差し押さえ対象の給与を受け取ることはできません(一方、債権者が給与を取り立てることもできません)。
そして、自己破産手続の終わりを意味する「免責許可決定」がなされたら、勤務先にプールされていた給与が支払われる事になります。
万が一免責(借金を0にすること)の許可が得られなかった場合は、プールされていた給与は債権者が回収してしまうのです。
自己破産手続は終了するまでに2~3ヶ月程はかかるので、同時廃止を利用した場合、その間は変わらずカットされた分の給料で生活していかなければいけません。
3.給与を差し押さえられてしまった方は泉総合法律事務所へ
給料が差し押さえられてしまった場合、早急に対応する必要があります。給料が差押えられることで、確かに借金は返済されていきますが、私生活への影響を考えるとデメリットの方がはるかに大きいです。
しかし、差し押さえ解除の手続きはとても複雑なものなので、専門家である弁護士にすぐにでも相談すべきです。
ご相談者様の現在のご状況に応じて、的確に借金解決のアドバイスさせていただきます。
ぜひ一度、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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